サワラがうまい。毎晩食事を自分で作るようになってからというものの、なんかさっぱり魚が食いたいな、という時はサワラ一択である。
サワラ。漢字で書くと鰆。字面からすると春の魚っぽいのだが、スーパー等で買い物をしている感覚だと、冬の魚、というイメージ。夏頃にサワラを買おうと思ってサミットをぶらついた所で、売っていないのだ。
おかしな話だ、と思って調べてみたのだが、どうやらこれは自分が関東圏に住んでいるからのようだ。関東では冬、関西では春、がサワラの旬とされているらしい。
残念ながら関西地方に住んだことがないので、本当のところは分からない。ひょっとしたら関西では春以降に店先に並ぶのだろうか。
調べていてもう一つ分かった、というかこちらの方が驚いたのだが、サワラは白い、が、成分としては赤身らしいのだ。つまりマグロと一緒ということか。
確かにマグロから血生臭さを抜いて、適度に乗った脂だけ残したものを想像すると、サワラに近いものが想像できる。元々あまり赤身よりは白身が好きな方なので、だからサワラが好きなのかもしれない。
いや、味もそうなのだが、毎日料理をする側からすると、サワラの扱いやすさも非常に助かっている。特に子供がいる家にしてみれば、肉でも魚でも、骨が少ない、というのは大きな利点なのである。
大人にとって骨がある魚というのは、まあ魚だし、当たり前と言えば当たり前。果ては骨をうまく取り除いて綺麗に魚を食べられるかどうかで、ある種の人間性まで測られてしまう。
余談だが、保育園の上級生になると、サンマを丸々一匹、箸で食べるのに挑戦してみる日があるらしい。まあそれぐらい骨付きの魚を食べることはベーシックな能力ということになる。
だが、もっと小さい子供にとって骨というのは、ただ単に食べられない固い物体でしかない。うまく取り除けなかったとしても、それは骨が悪い、もっと言えば骨なんてものを混ぜた調理人が良くないのである。
とはいえ、骨は、ある。魚を食べようとすれば骨は避けられない。そこで、サワラの出番である。
いや、もちろんサワラにだって骨はある。しかしスーパーで買う切り身の状態では、ほぼ、ない。焼いて皮ごとガブっと行っても全然問題ない。そしてうまい。
大急ぎで夕飯の支度をする側からすれば、これほど有り難いものはない。まあまあ適当に調理をして出せば、それでOKなのだ。大して味にクセがあるわけでもないので、魚が食いたい=サワラ、で何の問題もない。
まあ、難点を一つ言えば、少々、高い。安い魚の王様と言えばシャケだが、それに比べてしまうと倍近くするのだ。とはいえ、多少高くても簡単でうまいとなれば、払う価値はある。
買い物に行こう。
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