いい人だなあ、って人はいるもんでして。

もうなんというか、ため息が出るほど、いい人。いや思い出すとため息、実際出ますよ。完全にいい人でした。

同性ですよ、もちろん。別にゲイ的な感じじゃなくて、同性として、いやほんとに、いい人。びっくりするぐらい、ていうか、びっくりしますよ。

いませんね、こんな人。周りに。

ほぼ1日中一緒にいたわけですよ、家族ぐるみで。実際にお会いするのは2回めですかね。前回は、なんとなく掴みどころのない人だな、というぐらいにしか思わなかったんです。

浅はかでしたよ。くだらないことを考えていたものです。掴みどころがない、なんてのは、実にしょうもない評論です。恥ずかしい。

大体ね、掴みどころを出そうとし過ぎなんですよ。でね、それが見えないと、魅力がないとか、尖ってないとか、まあ好き勝手言うわけです。

言っとれよと。言わせておけよと。いい人、何が悪い。いや、悪いことは絶対にない上に、いい人であることは、それは良いことなんです。完全に。

思い知らされましたね。こんなにもいい人。もう頼むから、これからの人生、波乱なんてなくていい。幸せになって欲しい。そのままスルッと幸せに、是非。

だって1日一緒にいて、まったく、全然、影がない。だいたい人なんてのは1日でも一緒に時間を過ごせば、なんとなく闇、といいますか、あぁなるほど、ここら辺がこの人の圧縮された部分、圧迫されている部分なんだな、てのがふわっと感じるものです。

別にそれは悪いことじゃないんですけどね。なんとなく鬱屈した部分、それが同感、同情、同じフィールド感、果ては魅力と呼ばれるものに変異するわけですから。

しかしね、いるんだなあ、ほんと。ないんですよ、そういうの。少なくとも自分は感じられなかった。いや、ほんとはあるのかもしれませんよ。でもそれを少なくとも1〜2日、全く感じさせない。

思い起こしても、彼の表情、態度、言動、全てが好ましい。好ましいというは自分好みというのではなくて、非の打ち所がないというか。正論とかそういうレベルではなくて、大海、大海原。

笑顔ですよ。その笑顔は幸楽そのものなんです。別に福の神的な豪快さはないです。必要ない、そんなもんは。素直に、楽しい、面白い、笑う、ってだけ。

できないなあ。恥ずかしくなりました、ほんと。これでいいんだし、これがいい。みんなこれでいいじゃないか、と。

多分ね、こういういい人ってのは、この人はいい人で有名とか、そういうのにすら恐らくならないんです。いい人で有名とか、人格者で有名とか、そんなもん嘘っぱちですよ。だって一つ一つのエピソードは、有名になるほどの特徴はないんですから。いやそれが凄くいいんです。

例えば、あの人は部下思いで有名とか、そんなのあるじゃないですか。この人に照らし合わせてみれば、いやいや、部下思いなんてのは当たり前じゃないか、だって部下なんだし、てことなんです。

多分もう、この人に嫌われたら、終わりだな、てレベルですね。かといって好かれようとしたら、それはそれでダメだと思うんです。自分の今までの人生を総括される感じです。とかなんとか考えている自分が汚く思える。

いやあ、いまいちまとまらないんですけど、とにかく、いい人でした。それしかない。しかもそれは完全にすばらしい。